社長が語る、「エスネットワークス」とは|人材育成の考え方編
人材育成に関する考え方
Q.前回のインタビューでは経営者輩出の仕組み化や海外拠点についてのお話を伺いました。目標達成のためには今よりも多くの仲間を集め、組織だけでなく個々人の成長が一つのポイントになると思います。今後、人材育成や採用において力を入れていきたいことを教えてください。
全てのメンバーが自分自身の成長度合いを可視化できるように、2022年に人事制度を変更しました。具体的には2つの評価軸(トランスフォーメーションスキル、エンパワーメントスキル)を新たに設け、知識や業務経験といった顧客を変革するための基礎となるハード面のスキルと企業変革に向けチームの力を引き出すソフトスキル面のスキル、それぞれの力を評価する仕組みにしています。
経営改革を実行するためにはチームの力が必要です。そのため他社にはあまりない、エンパワーメントスキルの成長支援を取り入れていることが当社の特徴だと思います。
また、若手メンバーに対しては年に2回、評価のタイミングを設けています。その理由は、若手メンバーは知識と経験を含めてインプットがメインであり、吸収力が高く成長のスピードも速いため、能力値の成長だけでなく待遇面でも実感を得てもらいたいと考えたためです。
実は、一緒に仕事をしてくれるメンバーを増やしてほしいという声は社内でとても多いのです。というのも、ありがたいことにご依頼いただく案件数が本当に多くなっていて、受注しきれないほどになっています。
今在籍しているマネージャーたちはメンバーを育てていく意志を強く持っているので、コンサル業務が未経験の方であっても、「とりあえず挑戦してみよう」という気持ちで来ていただきたいと思っています。挑戦することが楽しめる方、さらにやりたいことがあると自ら言ってくれる人は大歓迎です。
Q.人材育成において、課題に感じている部分はありますか?
育成面では、すべてのメンバーに早期にプロジェクトマネジメント(PM)に挑戦する機会を増やしたいと考えています。なぜなら、PMになるためには「これを学べば良い」という絶対的な要件があるわけではないからです。
PMに必要なことは、プロジェクトの大枠を捉え全体をマネジメントしつつ、推進する力です。そのため、時には「特定分野の専門家を探す」「経営における重要な交渉を行う」など、その時々の状況に対応するためにソフトスキルが大切になります。そして、ソフトスキルはいくつもの場面を経験して初めて自分の力になる力のため、早いタイミングで経験を積んでもらうことメンバーの成長の近道だと思っています。
一方でハードスキルについては自ら学び、吸収する姿勢があるメンバーであれば早期のキャッチアップが可能です。そのため、現時点では不足している場合は外部の力を借りて補う選択肢を持ってもいいと思っています。
ここで重要なのは、ただ外部の力に頼るのではなく、「何のためにやっているのか」「どのように進めたらいいのか」を自分自身でも考え、そして理解して次に繋げることです。
その先で顧客やエスネットワークスのメンバーを巻き込みプロジェクトを推進できる人材を増やしていきたいです。
しかしながら、ハードスキルとソフトスキルをどのタイミングでどの程度学んでもらうかを育成プロセスに反映することが難しいと感じています。
お話ししている通り、PMになるためはソフトスキルが不可欠です。実際のところハードスキルは代替可能性が高く、極論スキルを持っているメンバーであれば誰がやっても同じアウトプットに繋がると考えています。ソフトスキルを感覚的にでも優先して身に付けてほしいです。
ただ、ハードスキルが乏しい人から説明されても説得力がないという事実もあります。そのため、ハードスキルも一定レベルの内容をインストールする必要があり、バランスよく身に付けてもらうことが難しいですね。「どの」のスキルを「いつ」身に付けていくべきか、人材育成における課題として今後も考え続けていきたいと思います。
成長のための機会について
Q.育成プロセスについては模索中とのことでしたが、現時点で個人が成長するためのインプットやチャレンジする機会はあるのでしょうか。
各メンバーが社内の制度を活用して、ハードスキルを向上させることは可能です。むしろ、個々人の向上心があればスキル部分の成長スピードは各段に上がっていくと考えています。またソフトスキルの面においては、会社として失敗を受け入れる考えが強く、失敗した際のチームのフォローが手厚いため、チャレンジしやすい環境だと思います。
例えうまくいかなくても、失敗を糧にして成長してもらえばいいと思っていますし、そのような積み重ねがプロジェクトマネジメント、そして経営者という道に繋がっていくと思っています。
人間誰しも「失敗したくない」気持ちは持っていると思いますし、失敗せずに物事をスムーズに進めたいと考える方も多いと思います。しかし、私はメンバーには失敗を恐れずにどんどんチャレンジしてほしいです。
私個人の考えですが、人は初期能力に関係なく、「誰でも何でもできるはず」「今日から何でも変えられるはず」と考えています。
失敗することもあれば、意外とやってみたらできることも多いので、今の段階でスキルがないことに不安を感じる必要はないと思います。
むしろ成長する過程での失敗は大きく成長するチャンスのため、恐れずに飛び込んで欲しいです。成長に必要なことは、考えて、やってみて、失敗して、そしてもう一回学ぶというサイクルを繰り返していくことです。
もしスキルが足りない、自信がないと躊躇されている方がいれば、背中を押して「とにかくやってみよう!」と声を掛けに行きたいですね。そして失敗から学び、一緒に新しいものを作れる関係を築いていきたいです。
働く環境や制度について
Q.人材育成の考え方についてよく理解できました。話が変わりますが、働き方の面において2022年からさまざまな改革を進めていると思います。取り組まれた経緯や今後の考えについて教えてください。
コロナを機に本当に大事なものだけを大事にできるようになり、時間に場所にも縛られないようになりました。
エスネットワークスにおいて、まず働く「場所」で申し上げますと、在宅勤務(月8日間)が可能な制度を作りました。在宅勤務における環境整備が入社時に必要になるため、補助費用も支給しています。在宅勤務制度の導入によって、働き方の自由度は大きく増したと思っています。
一方で、face to faceのコミュニケーションが不足しかねない状況でもあり、この点は改善していくべき重要事項だと思っています。
例えば教育面では、遠隔でのコミュニケーションだと、若手メンバーが仕事に手詰まった際に1人で抱え込んでしまう、業務指示を出す立場のメンバーが「自分でやる方が早い」と思って自分で仕事をしてしまう、といったことが起きうると思います。
しかし、隣同士に座って仕事をしていたらどうでしょう。恐らく、不要な壁を感じずにメンバーに指示を出したり、先輩や上司に質問をすることができたりしたのでないでしょうか。遠隔だと相手の表情が見えず、気持ちもわかりにくくなります。メンバーでもマネージャーであったとしても、成長には適時適切な周りのサポートが必要で、そのためにはface to faceのコミュニケーションが不可欠だと考えています。
このような考えから、新卒メンバーには基本的に出社を推奨しており、会社全体でサポートする考え方を持っています。これは中途で入社した方も同様で、全てのメンバーがフォローし合えるような環境作りを心掛けています。
そして、働く時間においてはコアタイムのないフルフレックス制度を導入し、フレキシビリティを担保できる働き方に変更しました。子育てや介護、その他ご家庭の事情でこれまで築いたキャリアを諦めたり、成長スピードを緩めたりすることなく両立できる環境整備が必要だと考えたためです。
ワークライフバランスが実現できないという理由で、優秀でそして向上心の強い方が労働マーケットから降りてしまい、世の中の未来に繋がらないことは本当に損失だと思っています。私自身、子供を3人抱え、母親は地方にひとりで暮らしているのでメンバーがこれからぶつかるであろうハードルについては理解できており、会社としても考え続けていきたい事項です。
Q.人材育成や社内環境のお話の中で「コミュニケーション」という言葉がよく出ていますが、改めて会社として大切にしている理由を教えてください。
一般的にコンサルタントがプロジェクトを進める場合、チームが組まれて動いていきます。エスネットワークスにおいても同様なのですが、他社と比較するとお客様の深部に入り込むことを全てのメンバーが意識してプロジェクトに取り組んでいるため、メンバー同士のコミュニケーションのみならず、顧客とのリレーションを強化することが重要であり、当然ながらコミュニケーションが重要になります。
我々が他社と大きく異なる点は、特定のスコープにとらわれずに会社全体を見て必要なことを提案し、実行する点です。
例えば、当初はシステム導入のご相談を受け顧客に出向いたとしても、ヒアリングをする中で「人事制度を変えた方がいいのではないか?」と感じたらお客様にとって本当に必要な提案をし、スコープも変化させていきます。そのため極端な例ですが、システム導入に詳しいメンバーが人事制度改定の案件に途中からアサインされる、といったこともありうるのです。もちろんいきなり即戦力で活躍するのは難しいと思いますし、会社としてもそのようなことをメンバーには求めていません。
弊社の特徴は、さまざまな領域のプロフェッショナルが在籍しているため、メンバー同士が連携することによって不足するスキルを補うことができ、そして知識の輪を広げることができることです。このように知を循環させるためには、それぞれがバラバラに動いていては力が発揮できないため、綿密なコミュケーションが必要だと考えています。
コミュニケーションを大事にしている点で言うと、6月5日(月)に本社の移転をしたばかりなのですが、オフィスのコンセプトは「人が集まりコラボレーションが加速できる場」としており、環境整備は具体的な行動に移しています(場所:東京都千代田丸の内 JPタワー)。
東京駅周辺の景色が一望できる開放的なオフィスで同じ目標に向かいながら、将来の展望を広げることができる場所でメンバー同士がより深い部分で繋がってもらいたいと考えています。
エスネットワークスが大切にしていること
Q.ここまでの話を通じて変化が起きやすく、そしてその変化を受け入れる組織だと感じました。組織が変化するのはとてもパワーがいることだと思うのですが、大事にされている理由について教えてください。
どんな組織も「今が最強・完璧」と思いはじめた時には既に衰退し始めています。なぜなら良いと思っているものを変えることに抵抗感や不安を感じてしまい、目の前の課題を見過ごしてしまうからです。
私たちの存在価値(VALUE)は顧客を「変革」していくことです。
そんな変革を巻き起こすはずの私たちが凝り固まった組織だった場合、果たして顧客に対して変革を起こすことができるのでしょうか。私は変化を体感していない人が、顧客を変革させることはできないのではと思っています。
経営者(顧客)がコンサルタントに相談する際に期待をしていることは、課題を解決し会社をより良い状態に変えるきっかけを作ることです。経営者という立場上、何でも変えることができる立場にもかかわらず相談にきていただいているわけです。今あるものがすべてだと思っている人にアドバイスを求めても仕方がないですよね。
そのため、社内に対してはどんどん新しいルールを入れて、意図的に組織の空気を循環させています。ただ単にスポット的にただ変えるだけでなく、「変わり続ける」ことが組織を強くすると思います。そして変化する環境に身を置き慣れることで、顧客先に常駐した際にも同様の発想を持って顧客へ接することができると考えています。
社内を変える続けることが結果的に顧客へ変革を提供することにつながると考えているため、今後も社内での変革を起こし続けていきたいと思います。
メッセージ
Q.最後に、この記事を読んでいる方に向けてメッセージをお願いします。
今まさに話していたことでありますが、「自ら考えて、自ら変える」意識をもって何事にも取り組んでほしいです。既存の枠組みを壊して、想像もしない意外な所から攻めてほしいですね。
失敗するのが怖いと感じるかもしれませんが、年齢を重ねて今よりも一歩が重くなった後で放り出されることに比べれば全然怖くありません。失敗しても軌道修正ができる間にたくさん挑戦して、成長の機会を自ら掴み取っていきましょう。